演出 いのこ福代
天気を占ったりまじないで病気を治したりする目の見えないイタコのばばさまがおった。
近頃は年をとったせいか、何をやってもうまくいかない。まじないで大失敗をして寝込んでしまった。
一人ぼっちのばばさまは、寂しくて心細くてたまらなかった。
ある日、腹をへらしたキツネが忍び込んだ。
ばばさまは家にある食い物を残さず食べさせた。キツネはお礼にとじょうるりをうなった。
そのとたん、ばばさまの体はホカホカ楽しげに起き上がった。
どんな病気も治してしまうキツネのおこんのじょうるりは大評判。
ばばさまはおこんを背中に背負い隠し、村中を回った。
ある日お城のお姫様が病気だと、使いがばばさまのところにやって来た。
ばばさまはお城に出かけていくが・・・
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このお話に思うこと
長い間ずっと一人でがんばって生きてきたばばさま。
体が思うように動かなくなりもうだめかと思い始めた時、おこんに出会いました。
おこんのおかげで食べ物の心配がなくなり、そして何より一緒に生きてくれる者がいることがどんなに嬉しいことかを感じたのでしょう。
それはおこんも同じです。
一人では出来ないことも二人なら出来ることを知って、二人はお互いを必要としました。
それはきっと、物質的なことより精神的なことの方が大きかったのではないでしょうか。
おこんがいなくなってから(死んでしまってから)、ばばさまは次の世代のキツネたちにじょうるりを伝えます。
大事なおこんとの繋がりを途絶えさせないように、そして、こんな素敵なものがずっとずっと伝えられていくように願っていたのにちがいありません。
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